事実こそが胸を打つ!!
人と同じで
本も出会いがある
先日出会った本がこれ
剪画家の石田良介氏によるもの
「剪画」とは切り絵の芸術化した世界を言うのだそうな…
まるで版画のような緻密な線と、しかも色も添えたものもある
まず最初に「剪画」って?から始まり
興味を持つと、この本を取り出してきた心理学の教授
次にこのタイトル
「谷根千」に惹かれた
東京生まれでもないのに
この東京下町の谷中、根津、千駄木辺りが好きで
ここに降り立つとほっとする…
言うまでもなくお借りしてきたこの本
数ページのところで手が止まる
たった1ページの文章に釘付けになった
そこからは放心状態
あまりに感動したせいだ
その文章というより
そこに書かれた
事実
放浪句家の
山頭火に関するエピソード
不自由ない生活と妻子を捨て
故郷を出て放浪しながら自由律の句を詠んだ山頭火
お経を読み托鉢をしなければその日のお米も買えない極貧の暮らしだ
そんな彼が東京で知人に粗末な庵に泊まっていってくれと言う
「人と一緒に寝たい」と…
たった一枚の布団しかないために知人を寝かせ
彼は一晩中起きている
夜、知人が目を覚ますと
山頭火は枕元でひたすら座禅を組んでいる
その姿は崇高なほど美しかったと…
壁に隙間があってそこからの風よけのために
彼は屏風となって客人を守っていた
知人は布団の中で泣いた
それからその彼は山頭火が亡くなるまで
給料の1/4を彼に送り続けたという
そこに書かれた文章が上手かった?
いや、その事実に衝撃を受けてしまった
どうやったらいい文章が書けるだろう?
どうすれば言葉の幅が広がるだろう?
どうやったらいい器が挽けるだろう?
どうすればいい色が出るだろう?
違うのかな?
感動はテクニックではないよね?
ありのままの心で
ありのままのものをぶつければ
きっと人の胸を打つ
人の胸を打つために動いてはいないけれど
小細工に終始したらダメだと思う
2012年の終わりに
いい文章に出会った
身が引き締まる想いを体験させてくれた
まだ本はたくさんのページ
また感動させてくれるかしら?
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