少し秋の陽が弱まった時間
のどかな里山風景の中にぽつんと建つ観音寺へ
春には一面の菜の花が迎えてくれるという

その頃にも来てみたいもの
バスを降り、畦道をお寺に向かう参加者の姿

なだらかにくねった道の先に小さく歩く姿
何だかとってもいい
静かなお堂は、とても国宝を有するお寺とは思えないほど小さく、無防備なほどあっさりとした造り

住職は平服の上に帷子をかけての出迎え
襟元にはシャツが、足元にはズボンが見え隠れ

気取りのない村のお寺さんというイメージだ
この
観音寺、京都の南の京田辺市にある
なんと1300年前、天平時代の創建というから驚く

長い歴史の中で火事などで建物は焼失し、今では往時を忍ぶものは殆どないとか…。
元々は普賢寺というのだそうだが、本尊の十一面観世音菩薩観音を今に残しているのは素晴らしい

一同を前に
住職の「今からご開帳します」の声に息を呑む

感動の対面だ

手を伸ばせば触れられる近さで、厨子の中の観音様と対峙する

なんという美しさだろう

艶やかで、気品があり慈愛に満ちたお姿に、心打たれる
十一面観音フェチの私は
これまでも琵琶湖周辺や若狭まで会いに出掛けたこともある
そのどのお姿にも感動させられてきた
南山城のかくれ里には、観音寺以外にも白州正子が愛した十一面観音が沢山あるようだ
有名観光地ではない山里に眠る観音を求め、歩く正子の心境に思いを馳せる
心が柔らかく優しくなった気がした
ちなみに
十一面観音に魅せられたきっかけは
20代前半で読んだ井上靖の小説「星と祭」だ
さて、あと幾体の観音様に…私は会えるのだろうね
いつかまた、どこかで静かに鎮座する観音様に会いに行きたいと思う